ふるさと納税

ふるさと納税でクラウドファンディング!自治体の新しい試みとは?

「ふるさと納税」と聞くと、寄付のお礼にもらえる「返礼品」ばかりがクローズアップされています。そのせいでしょうか「過当競争」「換金性があるものはダメ」などネガティブな事ばかりが報道されています。

ひょっとしたらふるさと納税は悪いことでは?そんなことはありません。本来のふるさと創生の他にも、災害募金や新しい試みとして「クラウドファンディング」としても利用され始めています。

■災害への寄付として使われるふるさと納税

災害の多い日本では、色々な自然災害や火事などが起きると、全国各地から義援金が集まります。ただ、「募金をしている団体がどうも怪しい」などの意見もあり、直接、現地に募金をしたいという人が結構います。

また、「募金をしたいけれども数十円、数百円なら可能だけどそれ以上は・・・」という人もいます。

そうしたニーズに応えるため、ふるさと納税の枠組みが使われてきています。ふるさと納税は寄付金控除を使った仕組みですから、寄付額が所得から控除されて税金が減ります。これなら、自分が払うべき税金を直接災害があった地域に届けることができて、なおかつ、自分の出費も抑えられる、というわけで「どうせ寄付するなら返礼品ではなく災害があった地域を助けたい」という要望にふるさと納税が生かされています。

実際、「ふるさとチョイス」などのふるさと納税サイトでは、「災害支援」「募金」の項目があり、そこから自分が寄付をしたい(災害があった)自治体を選ぶことができます。
※参考
<a href=”https://www.furusato-tax.jp/search.html?q=&use_category_id%5B%5D=274″ >ふるさとチョイス|震災復興</a>

 

ふるさと納税の寄付額が飛躍的に増えたのは、制度の周知、返礼品の充実、ワンストップ特例制度など寄付しやすい、寄付をすると得するという情報の広がりもありますが、2011年の東日本大震災や2016の熊本地震など地震や洪水、水害などがあり、それに対して復興、復旧のために寄付をしたい人が増えたということもあります。

同じお金を募金、寄付するのであっても、自分の負担をなるべく減らして、直接、確実に被災地に届けるためにはふるさと納税が有効なツールになりえたのでした。

これは、ふるさと納税を創設した人達にとっては、あまり意図しないものだったようですが、有効に活用されていて直接的に現地の災害からの復興を助けている好例だと言えるでしょう。

そして、災害に限らず、最近増えているのが、返礼品ではなく自治体がふるさと納税の寄付金の使途、目標金額を明確にした「クラウドファンディング」的な使い方です。

■クラウドファンディングとは?

※日経BP記事
<a href=”http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/tk/PPP/news/072600397/” >http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/tk/PPP/news/072600397/</a>

この記事は、東京都文京区が生活の厳しい家庭(就学援助受給世帯や児童扶養手当受給世帯)の子ども向けに、様々な理由で処分されてしまう食品を活用する「フードバンク」的なものを作り、食品を家庭に配送するシステムを作ろうというものです。

ポイントはそのシステム構築のために、あらかじめ「2000万円」という目標額を設定していることになります。こういうやり方が「クラウドファンディング」です。

□クラウドファンディングとはどのようなもの?

「クラウドファンディング」とは、インターネットを通じて「不特定多数」の人から出資を募る仕組みです。群衆を表わす「crowd」と資金調達を表わす「funding」を組み合わせた新しい造語です。ふるさと納税のサイトで募集し、寄付しますから、この枠組みに当てはまりますよね。

ある事業を企画したい人やクリエーターが、自己資金だけではその事業に着手、運営ができない場合に、その事業について、概略をネットで伝えて、それに共感する人たちから直接資金の提供を募る方法になります。

イメージとして近いのは、株券の発行でしょうか。その企業の事業に賛同するが株券を買いますからね。「募金」は直接募金箱に入れますが、クラウドファンディングはあくまでネット上でのやり取りがメインです。

漠然と「自然保護のため」とかではなく「〇〇という社会的施設を作るためには▽▽▽▽万円必要だから、それに達するように寄付してください」と具体的に目標金額を設定するのが特徴です。

□クラウドファンディングのタイプ

クラウドファンディングは資金をネット上で集めること、以下の3つのタイプに大きく分けられます。

・寄付型

ふるさと納税を活用したクラウドファンディングはこれになります。

何か公共的な事業や、災害復旧などへの対応のために「善意の募金」を募る方法です。出資したお金は戻ってきませんし、自治体が行うならば通常の企業以上に資金使途のその後には注意する必要があります。

クラウドファンディングサイトで行われているものは、税金控除などがありませんが(本当に見返りなく寄付する)、地方自治体などの公的な存在に、ふるさと納税のシステムを利用して寄付する際は、税法上の「寄付行為」に当たり、住民税の控除などの優遇措置があるわけです。

一方で民間団体や企業が出資を募った結果、集まらず、事業を断念して代わりにどこかに寄付をする場合は贈与税などが発生する可能性がありますが、ふるさと納税はそもそも「納税」なのでそういうことはなく、自治体の別事業に使われることになるでしょう。

この方式が、ふるさと納税×クラウドファンディングになります。

 

・購入型

出資した人は金銭的なリターン(配当など)を受けることはできません。しかし、事業が達成された場合、ある一定の権利などを「購入」することができるものです。

「一日町長」「記念碑に名前を彫刻」「自治体のゆるキャラモデルに自分が」など、実は既存のふるさと納税の「返礼品」の中にもこれに近い形があります。

購入型のクラウドファンディングは、民間企業や団体が行うものとしては、現在日本では一番主流になっているスタイルです。

・金融型

こちらはふるさと納税ではありえないタイプです。

クラウドファンディングによって集めたお金で行った事業の利益を、出資額に応じて「配当」として受け取ります。要は株式のようなもので、自治体の公共事業で利益を出して個人に配当、は絶対できないですよね。

事業の趣旨に賛同して、というよりも株と同じでマネーゲームになってしまいます。

 

□全国に自治体の事業計画をPRできる

IT化の進展によって、企画している事業や目的のグランドデザインを視覚化、明確化して、多くのの人にアピールすることができるようになりました。ふるさと納税は納税義務のある日本在住の人ですが、民間のクラウドファンディングは全世界の人が対象です。

自治体がHPに載せてもこれが全国の人に知られるのは至難の業でしょう。しかし、ふるさと納税サイトに掲載すれば容易に検索されるようになっています。だから、この仕組みは全国から薄く広くお金を集めて、事業を着手するには最適なんです。

クラウドファンディングはネット上で「目標金額」に対してどのくらいの出資(ふるさと納税の場合寄付)が集まっているのかを、視覚的に表すことができます。

クラウドファンディングで問題となるのは、目標金額に寄付が集まらなかった場合の対応ですが、ふるさと納税ならば納税ですから、その事業に使えなくても広く自治体の事業やサービスに還元されます。

一般のクラウドファンディングでは、集まらなった場合、対応次第で「裏切り行為」と言われてしまいますが、ふるさと納税ならばそもそも住民税の支払いですから、あまり文句も出ません。

ですので、実現可能な寄付が集まるかどうか微妙なラインの事業似ついても、クラウドファンディング型にすることで「努力目標」を掲げることができて、ギリギリ実施にこぎつけることができるかもしれないというわけです。

集まらなかった場合のリスクヘッジをあまり考えなくていいのが、ふるさと納税のシステムを生かした自治体のクラウドファンディングになります。

 

■有名なクラウドファンディング型ふるさと納税

それでは実際に、クラウドファンディング型のふるさと納税にどのようなものがあるのか、代表的なものを見ていくことにしましょう。

ちなみに、文京区の「こども宅食」は、目標2000万に対して執筆時で1500万円、75%が集まっています。目標額に対する達成度が表示されるので、「寄付してもいいかな」という心をくすぐります。

<a href=”https://www.furusato-tax.jp/gcf/155″ >命をつなぐ「こども宅食」で、1000人のこどもと家族を救いたい!</a>

 

□練習場のない日本スケート界を救え!!関空前にアイスアリーナを!!

・大阪府泉佐野市
・目標額2億円

<a href=”https://www.furusato-tax.jp/gcf/192″ >練習場のない日本スケート界を救え!!関空前にアイスアリーナを!!</a>

 

関西空港前に2億円かけてスケートリンクを作ろうという巨大プロジェクトです。フィギアスケートブームですが、実は各地のスケートリンクは閉鎖が相次いでいます。どこまで実現が可能なプロジェクトなのか注目したいと思います。

□まちの生活を支えるローカル線「養老線」を守りたい!

・岐阜県池田町
・目標額3600万円

<a href=”https://www.furusato-tax.jp/gcf/156″ >まちの生活を支えるローカル線「養老線」を守りたい!</a>

続々と廃止になっている鉄道のローカル線ですが、地元のローカル線を何とかして守ろうという試みです。似たようなものとして、やはり収益が悪化したため、廃線を防ぐためにおせんべいを売っている銚子鉄道があります。

住民だけではどうにもならない問題ですので(かといって観光資源がなければ鉄道に観光客が乗ることもなく)、こういう解決方法もあるのかもしれませんね。

□お山の学校を守りたい! ~移住促進住宅整備で集落を元気に~

・高知県室戸市
・目標額114万円

<a href=”https://www.furusato-tax.jp/gcf/158″ >お山の学校を守りたい! ~移住促進住宅整備で集落を元気に~</a>

 

過疎化解消のためのインフラ整備にクラウドファンディングを使おうという試みです。114万円という非常に現実的な額のため、寄付が集まっています。

数千万というなかなか達成できない数字よりも、数十万、百万単位の目標額設定だと、寄付して役に立てそうという気持ちになりますよね。クラウドファンディング型ふるさと納税のモデルケースと言っていいくらいです。

□達成したクラウドファンディング

これまでに目標額を達成した自治体のクラウドファンディング型ふるさと納税が以下になります。

<a href=”https://www.furusato-tax.jp/gcf/history” >受付終了―実績―</a>

達成したものには「達成」マークがついています。共通するのはあまり高額ではなく、数十万円~数百万円くらいのものが多いですよね。

これは、1人数万円の寄付を希望するのではなく、返礼品目的の人でも「1000円くらいなら寄付してもいいかな」と思わせるのに成功しているからです。最初から数億のプロジェクトで「達成は無理かな」と思うものには寄付はありませんよね。

クラウドファンディングですので、実現できそうなプラン&金額がふるさと納税でも求められるのでしょうね。

もし、返礼品が欲しくてふるさと納税サイトを使うケースでも、1000円くらい社会貢献に役立ててもいいかな?という人は、是非クラウドファンディングの項目も覗いてみてください。

■ふるさと納税でクラウドファンディング! まとめ

・自治体の事業を推進するためにふるさと納税の枠組みを利用してクラウドファンディング型の寄付を集める動きがある
・クラウドファンディングはウェブサイト上で達成状況がリアルタイムで分かる
・少額からでも寄付できてかつ納税なので自腹を切ることはない
・目標額を達成しなかった場合も納税なので自治体の公共事業に使われる(使い込みの心配がない)
・達成できそうな金額ならば「1000円くらい寄付してもいいかな」という人はいる
・返礼品目的だけど少額なら寄付しようという需要を狙っている
・今後さらに広まっていく可能性がある