ふるさと納税

公的融資より有利!?ふるさと納税と資金調達の新しい形

ふるさと納税は「税金のぶんどり合戦」、返礼品と引き換えに寄付してもらったお金はすべて自治体の公共事業に使われる、そういうイメージでいる人も多いのではないでしょうか?

しかし、この仕組み、色々応用の余地があり、自治体以外の団体の資金調達の方法としても使われるようになってきています。今回は東京都墨田区の例を出しながら、新しい資金調達と自治体の関係について考えてみたいと思います。こちらも参考に ふるさと納税でクラウドファンディング!自治体の新しい試みとは?

■墨田区の「夢応援助成事業」

こんな記事が「日経新聞」に掲載されました。

地域振興団体の資金調達、ふるさと納税活用 墨田区

ふるさと納税のシステムを使って、クラウドファンディング型で資金を集めようとするものです。クラウドファンディング型のふるさとの納税は従来からありましたが、ここが新しいのは、自治体の公共事業ではなくて、民間団体やNPOのための事業費をふるさと納税で集めるというものだからです。

墨田区HPに概要が書いてあります。

すみだの夢応援助成事業

ポイントは以下の通りです

・ふるさと納税の寄付はふるさと納税サイトを通して、一度全て墨田区に集める

みんなの夢が未来を作る「すみだの夢 地域応援プロジェクト」

・クラウドファンディング期間終了後助成金を交付(目標額に達しなかった場合は集まった金額分配)
・実施事業者は墨田区に報告書を提出
・報告をもとに評価・講評を行う

というものです。企業ではなく団体というのがポイントで、助成金事業の原資をふるさと納税のシステムを使って集めるという新しい試みになります。

ふるさとチョイスに掲載された、団体の活動を応援したい人の寄付金は、一度墨田区に入った後、全額を「助成金」として団体に交付します。

ふるさとチョイス利用手数料は区が負担しますが、それ以外のPRや返礼品(ある場合)は各団体が行います。よくあるクラウドファンディングと違って、目標額へ達しなかった場合でも墨田区の事業に使われるわけですから、税金は有効利用されますし、繰り返しになるかもしれませんが、ふるさと納税ですから、自腹を切って寄付するシステムでもないため懐にも優しいシステムになっています。

■「ふるさと納税で資金調達」のメリット・デメリット

新しい制度を導入したということは、この仕組みにメリットがあるということですよね。メリット、デメリットを見てみましょう。

通常のクラウドファンディングサイトを利用する場合、集めた資金の1割~2割を手数料として支払うのですが、今回のプロジェクトではそういう必要もなく、事業を行いたい団体も無駄なお金を使う必要がありません。

自治体のメリット:他の自治体住民から自分の自治体の団体への補助金を合法的に集められる

団体のメリット:クラウドファンディングよりもリスクが低く、補助金として受け取ることができる

というものです。

ただしデメリットもあります。「公金」「税金」を使うわけですから、無駄があってはいけませんし、報告書の作成は煩雑極まります。

領収証の漏れなどは論外ですし、全てにおいて依頼状や請書、日付の順序、印鑑の有無なども厳格に問われることになります。でも自腹を切らずに金銭的リスクなしに事業資金を調達できるのですから、そのメリットは大きいものだといえるでしょうね。

■選ばれたのはこういう事業です

墨田区のHPにこの仕組みでの資金調達に選ばれた事業が掲載されています。

平成29年度すみだの夢応援助成事業からの助成団体が決定しました

・江戸野菜「寺島なす」の復活を目指す「たもんじ交流農園」、
・大人と子どもの体験型交流場をつくる企画「北斎塾」
・新日本フィルハーモニー交響楽団の「音楽の力で人とまちを元気に」プロジェクト

など、自治体のクラウドファンディングで行うことに適している、公共の福祉に適う内容になっています。

やはり、企業の新商品開発は「ふるさと納税」という仕組みを使うのだと難しい感じですね。

でも、団体の方で何かやってみたい!という意思があるなら、お住まいの自治体のふるさと納税を確認してもいいと思います。

■自治体の「制度融資」(比較対象として)

なお、企業で利益を上げたいために資金調達したい場合は、各自治体の「制度融資」というものがあるはずです。

これは

・自分の自治体に一定年数事業所がある
・法人税や所得税を確実に支払っている

などを条件に。自治体の窓口に行くと、金融機関から直接融資を受けるよりも低い金利で資金調達できる制度です。

そのまま金融機関から借りるよりも条件がいいならば利用しない手はありません。こちらは多くの自治体にあるため、なるべく節約して資金調達をしたいと考えている人は、金融機関へ行く前に自治体の窓口を訪れてみるといいでしょう。

■ふるさと納税で資金調達できれば最も有利

先に挙げたふるさと納税で集めたお金の助成金であれば金利はかかりません。報告書の作成など面倒な部分も多いですが、金銭的にはリスクゼロ(だって助成金で返済しなくていいから)で新事業に取り組むことができます。

公益に適ったものであることや、民間企業ではなかなか難しいなど、資金調達をするまでの条件もありますが、新しい形として寄付するだけではなく、寄付されたお金を受け取れる仕組みができつつあるということを是非知っておいていただければと思います。

多様化する資金調達の仕組みを知っておくことで、みなさんの事業を有利に運ぶことができます!

■公的融資より有利!?ふるさと納税と資金調達の新しい形 まとめ

・ふるさと納税で集めた寄付を公的な事業を行う団体に助成する自治体が出てきた
・クラウドファンディング型のふるさと納税で目標額や内容を示す
・サイト手数料がかからないため通常のクラウドファンディングよりもお得
・フィードバックや報告書などは厳密に行う必要はあり
・今のところNPOや協会などの団体が対象で民間企業は選ばれていない
・多くの自治体には助成金型ではなく、制度融資型の資金調達制度を設けているところが多い
・低利の融資、助成金、資金使途や企画団体によって選んで利用したい
・ふるさと納税する人も明確な目的に対して寄付できるので達成感がある