通常海外に行くときには、現金を豊富に用意していき、現地の両替所などで換金します。
また、面倒な両替をせずにクレジットカードだけで買い物をするという人もいるでしょう。
しかし、カードを中心に使える国ばかりではありません。国によっては現金を用意しなければならず、何らかの事情で手持ち現金がなくなり、その国の現金を入手しなければならなくなった時、どうすればよいのでしょうか?
今回は、海外でお金を借りる方法をまとめてみたいと思います。
- お金を借りるには外国でも使えるカードが有効です
- カードには種類があり、それぞれ借り方が異なります
- 緊急の場合、お金を手に入れる方法はなかなか大変です
- 盗難等のリスクが日本よりも高い国が多く、リスクヘッジの重要性を知ってください
目次【移動できます】
緊急でお金が必要になるケースは結構あります
「海外でお金を借りる」というと「そうならないようにお金を用意していけ」と思われるかもしれませんが、十分用意していっても不意にお金が必要になるケースがあります。
- 盗難、窃盗に遭う
「海外は治安が悪い」というステレオタイプを持つべきではありませんが、国によって地域によっては、相応の注意をしてもお金を盗られてしまうリスクはあります(もちろん日本国内でもリスクゼロではありませんが)。
お金やカードを盗られてしまった場合、財布ごと失うわけで、別の方法でお金を調達するしかありません。 - 事件・事故に遭う
事件や事故に巻き込まれる可能性もゼロではありません。日本のように警察機構を信頼できない国もありますし、法外な賄賂を(警察等から)要求される国もあると聞いています。 - 突然の入院、病気の必要性
事故だけではなく、病気になり現地の医療機関にかかる可能性もあります。当然、日本の保険証は使えません。薬をもらうくらいならば自費で何とかなるかもしれませんが、入院になれば手持ちの資金では足りなくなる可能性もあります。日本人コミュニティとのつながりのある病院へ行くべきですが、場所や容体によってはそうも言っていられません。何とかしてお金を用意しないと、日本国内のような万全の医療が受けられなくなるかもしれません。
方法1 日本の銀行のカードで専用のもの「国際キャッシュカード」を作るのがベター
国内の場合、お金が必要になればみなさん銀行やコンビニにあるATMでお金をおろします。しかし、海外では、いくら口座を持っている銀行のカードがあっても使えるところ(ATM等)がありません。日本国内にある口座からの引き出しは難しいと考えてください。
みなさんが持っているキャッシュカードはそのままでは海外では使えなそうです。
ただし、日本の都市銀行の中には、海外でお金を引き出せるカードを別途作ることもできます。「国際キャッシュカード」と呼ばれるもので、各銀行に相当するカードがあるはずです。
例えば、三井住友銀行ならば「デビットカード(SMBCデビット)」というものがあります(他行にも似たカードがあり)。
これを持っていれば海外にある共用ATMから、現地通貨を日本の口座にある金額まで引き出すことができます。
また、新生銀行のようにあらかじめ専用の「プリペイドカード」にお金をチャージしておけば、デビットカードのような使い方(チャージ分だけ使えるSUICAのようなもの)もできますし、専用ATMからチャージ分だけ現地通貨で引き出すこともできます。
利息がかかるローンでもなく、自分の口座のお金を両替して現地通貨に換えられる一番正統派の方法です。
方法2 クレジットカードの「キャッシング」枠を利用する
みなさんがお持ちのクレジットカードには「キャシング」機能があり、国内外問わず、その限度内でお金を引き出すことができます(支払いはカードで物を買った時と同様毎月の引き落とし日に銀行口座から落ちます)。
5万円キャシングすれば、毎月の引き落とし日に銀行口座から5万円+利息が引き落とされます。そう、キャッシングは利息がかかるんです。これが自分の銀行口座とは違うところです。
クレジットカードには、大きく「VISA」「Master Card」「JCB」の3種類がありますが、キャッシングできるATMはカードによって異なります。
VISAは「PLUS」
Master CardとJCBは「Cirrus」
というマークが付いたATMでのみキャッシングができます。これは日本だけでなく海外も共通仕様なので、ショッピングセンターなどのATMを見てキャシングをしてください。
繰り返しになりますが、キャッシングには日割りで利息が発生します。利息は15%~18%のところが多く、返済日によっては予想外に利息を支払うことになります。
例えば筆者が持っている某クレジットカードは
- 毎月末日締め
- 翌々月初払い
です。したがって、2019年6月1日に5万円キャッシングしたとすると、返済日は8月1日、2か月分の利息がかかります。
計算するとこういう結果が出ました。
支払い日 | 2019 年 08 月 01 日 |
---|---|
計算適用融資利率(実質年率) | 15% |
支払い総額 | 51,273 円 |
利息合計 | 1,273 円 |
あまり大した利息ではありませんが、このように利息が発生するのが、クレジットカードのキャッシングでお金を借りるデメリットになります。
方法3 カードローンを利用する
消費者金融等のカードローンの中には、海外で利用できるものもあります。
ただし、現時点で海外でもお金を借りられるのは「アコム」など一部のカードローンに限られます。
クレジットカードのキャッシングとカードローンは似ているようで異なるので、その違いも意識してください。
- クレジットカード
ショッピングがメイン、キャシングはオプション - カードローン
お金を借りるためのもの
カードローンとクレジットカードの違いはなんですか?|JCBカード
カードローンの場合、学生や無職、専業主婦の人は利用できないことが多く、やはり海外でお金を借りられるチャンスを考えると、クレジットカードのキャシングの方がいいでしょうね。
一方、収入が高い人は、クレジットカードのキャッシング枠を利用するよりも高額の借り入れが可能なケースもあります。もちろん、利息も高額になるのでご利用は計画的に。
基本的な海外でお金を借りる方法はこの3つですが、緊急にお金が必要になり、ATMが近くにない場合別の方法を考える必要があります。
以下はおすすめしませんが、可能性としてお金が借りられる方法になります。
【緊急時】方法4 手持ちの私物を売る
海外にも質屋などがあり、買取を行ってくれます(「質に入れた借りる」こともできますが、実際には滞在期間もありますし、質に入れたものを返金して取り返すのは実際には難しいでしょう)。
とはいえ、私物で換金性があるもの(売れそうなもの)といえば
- 指輪、ネックレス等の貴金属
- 時計
- ブランド物のバッグ
くらいでしょうか?
貴金属であれば適正価格で買い取りをしている貴金属店や宝石屋、ブランドショップも見つかりやすいはずです。
アヤシイ質屋ではなく、しっかりした買い取りを行っているお店が見つかれば相応のお金になるはずです。
「借りる」とは少々違いますが、緊急時にお金を入手するにはこれが一番手堅いです。
【緊急時】方法5 大使館に行って相談する
万策尽きてどうしようもない場合、現地の日本大使館と連絡を取ってみましょう。「大使館がお金を貸してくれる」と書いているサイトもありますが、原則、大使館がお金を貸してくれることはありません。
例外的に何か金銭的な給付があるかもしれませんが、それは必要最小限にとどまり、お金を借りなければならなくなった責任が本人にあるならば、後日返還を迫られるでしょう(いうまでもなく税金ですので)。
逮捕の危険があるなど、身の危険を感じたときなど、非常時に大使館に相談して指示を仰ぐのが主目的であり、金銭を無心するところではないことは意識しておいてください。身の危険があるならば、ともかく大使館です。
海外で不意にお金が必要になる可能性はいくら準備していてもあり、なるべく大事にならないよう対処できれば、それに越したことはないでしょう。あらゆるカードを持って行っても、そのカードごと紛失すれば意味がありません。
何かあった時のリスクを分散して、お金とカードを別の場所に保管しておくなど各自で防衛策もとっておきたいですね。
アヤシイ貸金業者はNG!
日本でも「お金貸します」という怪しい看板を時折耳にしますが、そういう貸金業者に頼るのはNGです。どういう契約になっているのかわかりませんし、危険な犯罪に巻き込まれるリスクもあります。
本当に返済をして貸金契約が終わるのかどうかも不透明です。いくら緊急にお金が必要になっても、正規ではない業者からお金を借りるリスクは日本以上に高いと思ってください。彼らにとってはみなさんは外国人なのですから、どういうことが起きても知りません・・・。
カジノ、ギャンブルは論外
国によっては外国人もできる合法ギャンブルやカジノがあるところもあります。少ないお金でも当たれば・・・、という思いでギャンブルでお金を増やすのは絶対にNG!です。
本当にどうしようもなくなり、大使館等に駆け込んでも説明のしようがありませんし、当然そういうところには犯罪に遭うリスクも高いのです。
最後の手段としてもギャンブル系はダメと強く心に留めておいてください。
海外でお金を借りる方法 まとめ
通常の場合
国際キャッシュカード | 利息がかからない、自分の口座を利用 | 口座の残高以上に引き出すことができない |
クレジットカードのキャッシング枠 | 引き出せる機会が多い | 利息がかかる、カードによってATMが違う |
カードローン | 引き出せる額が多いケースも | 学生や主婦など収入がない人不可 |
緊急の場合
私物を売る、質屋 | 即お金に換えられる | 売るお店を選ばないといけない、借入ではなく実質古物買取になる |
現地の日本大使館で相談する | 的確なサポートが受けられる | お金を必ず借りられるわけではない |
- 複数の違ったカードを準備しておく
- カードで借りれないなら手持ちの貴金属や時計の換金を試みる(正規のショップで売る)
- 日本大使館や日本の出先機関に駆け込む
この流れ以外のことをすると、犯罪に遭うリスクが極めて高くなりますので注意をお願いします。