10_01金融事業者のホームページをみていると「貸金業法」という言葉を見かけることはないでしょうか。

一見、貸手側の法律であって消費者には関係ないように感じますが、借手側の消費者にも影響の大きい法律なのです。

ここでは貸金業法がどんな法律で、消費者にどう影響を及ぼすのか、といった点を説明します。

貸金業法とは?

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貸金業法とは、消費者金融をはじめとした貸金業者の業務などに関する法律で、平成18年12月に国会で成立され段階的に運用された後、平成22年6月に完全施行されています。

この法律が制定された背景には、多重債務者の増加という大きな社会問題がありました。
複数の貸金業者などからの多額の借金で生活に困窮する消費者が増加したため、それまでの関連法が抜本的に見直され制定されたのがこの貸金業法なのです。

貸金業法を簡単に示すと、多額の借金で苦しむ多重債務者等を増加させないために貸金業者の業務に縛りをかけるための法律といえます。
その結果、借手にもお金を借り利用する上でそれまでとは異なる影響が出てくるのです。

貸金業法の主なポイント

貸金業法には借手に関わる重要ポイントが2つあります。

  1. 総量規制の導入:消費者の借り過ぎと貸金業者の貸し過ぎを防止
  2. 上限金利の引き下げ:法律上の上限金利を29.2%から15%~20%へ引き下げ

ここでは上記の内容を簡単に紹介しましょう。

総量規制とは

icon_kado_4総量規制とは貸金業者が個人への過剰な融資を防止するために融資額の総額を制限する法律で、借手にとっては借り過ぎを防ぐ仕組みといえるでしょう。

そのため個人が貸金業者のカードローンなどからお金を借りる場合にはさまざまな影響が出てくることもあるわけです。

 

年収による借入総額の制限

icon_kado_9総量規制では貸金業者が個人に融資する際、返済能力の調査を要求し、その方の総借入額が年収の3分の1を超える融資を原則として禁じています。

つまり、借手としては貸金業者からの借入が年収の3分の1までしかできないというわけです。

例えば、年収が300万円の方は貸金業者から100万円まで借りられますが、100万円を超える部分の借入はできません。

また、年収が300万円の方が既に貸金業者X社から60万円借りている場合、新たに貸金業者Y社から借りられるお金は300万円×1/3-60万円=40万円までとなります。そして、既にX社から100万円を借りている場合は、どの貸金業者からも新たに借入できないのです。

ただし、ミスにより100万円を超える借入ができた場合でも利用者は罰せられることはなく、また3分の1までの返済を直ぐに求められることもありません。

収入証明書類の提出と信用取引情報の提供

icon_kado_4総量規制により貸金業者は法的に借手の収入や借入残高を調べる必要があります。そのため貸金業者は利用者に収入証明書の提出を求めたり、信用情報機関から個人の信用取引情報を入手したりしなければなりません。

その結果、借手は貸金業者から収入証明書の提出を求められればそれを提出する必要があるわけですが、もし拒めば借入できなくなってしまうでしょう。

ちなみに総量規制では以下の場合に、貸金業者が利用者に収入を証明できる資料を求めるように義務付けているのです。

  • 借手がある一つの貸金業者から50万円を超えて借りる場合
  • 借手が既に借りている他の貸金業者の分も含めて100万円を超えて借りる場合

*なお、リボルビング契約をする際の借入限度額も含まれます。

また、貸金業者による借手の信用取引情報の入手と審査上の利用について同意を求められて応じない場合、借手はローンに申し込めなくなります。

総量規制が適用される貸金業者とは

icon_kado_7貸金業法でいう貸金業者とは、お金を貸す事業をしていて、財務局や都道府県に登録している事業者のことを指し、消費者金融やクレジットカード会社などが該当します。
なお、銀行や信用金庫などの金融機関の場合はこの法律での貸金業者には該当しません。

そのため金融機関が運営するカードローンなどは総量規制の対象外となり、法的な年収による借入額の制限はないのです。

例えば、銀行カードローンなら法的には年収の3分の1を超えるお金を借りても問題がありません。ただし、実際に年収の3分の1を超えて貸してくれるかどうかは貸し手側の判断次第です。

クレジットカード会社の場合、カードキャッシングなどでお金を貸す業務を行っていると貸金業者に該当し総量規制の対象となります。

しかし、カードによるショッピング取引は貸金業務ではないので総量規制の対象外となるのです。消費者としてはクレジットカードでキャッシングする場合やクレジットカード会社のカードローンを利用する場合は総量規制の対象となると考えておきましょう。

総量規制の除外と例外

icon_kado_5総量規制にはその除外や例外となる項目があり、それらに該当する場合は借入額の制限を受けずに融資を受けられるケースもあるのです。

除外の融資とは総量規制の対象外となる融資のことで、不動産購入の融資、自動車購入時の自動車担保融資、高額療養費の融資、有価証券担保融資、などが該当します。これらの借入残高は総量規制の対象となる借入残高にはカウントされないのです。

例えば、住宅ローンやマイカーローンなどは総量規制の対象外で、これらでの借入は総量規制の対象となる借入額には含まれません。

例外の融資は総量規制の借入残高に含まれるものですが、例外として年収の3分の1を超えて融資が受けられるものです。

例外の融資としては、緊急の医療費への融資、顧客が一方的に有利となる借換融資(おまとめローン)、配偶者と合算した年収の3分の1以下の融資(配偶者貸付)、個人事業者への融資(ビジネスローン)、などがあります。

貸金業法改正後の上限金利

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平成22年に貸金業法が改正され、結果として法律上の上限金利は29.2%から15%~20%へ引き下げられています。

法律上の上限金利には、利息制限法の上限金利と出資法の上限金利の2種類があります。

利息制限法の上限金利は融資額に応じて15%~20%、改正前の出資法の上限金利は29.2%で、貸金業者は一定の要件下では29.2%までの金利で融資できたのです。

しかし、貸金業法の改正により平成22年6月18日からは出資法の上限金利が利息制限法の水準まで引き下げられ20%となりました。

また、貸金業者が利息制限法の上限金利を超える金利帯での融資を行った場合は民事上無効で行政処分の対象となり、出資法の上限金利を超える金利帯による融資の場合には刑事罰の対象となったのです。

なお、利息制限法の上限金利は借入元本に応じて以下のように決められており、それを超える利率の利息は無効となります。

  • 元本の金額が10万円未満の場合は年20%
  • 元本の金額が10万円以上100万円未満の場合は年18%
  • 元本の金額が100万円以上の場合は年15%

総量規制によるローン審査への影響

10_04法改正の後、ローン審査が厳しくなった時期もありましたが、アベノミクスによる景気の回復とともに貸金業者の貸出額も回復傾向にあり、ローン審査は必要以上に厳しくなっていないと考えられます。

例えば、総量規制が適用される消費者金融と適用されない金融機関のローン審査の難易度を比較すると、金融機関のほうが審査は厳しいといわれています。

総量規制が適用されている現時点でも消費者金融などの貸金事業者のほうが金融機関よりもお金を借りやすいという傾向があるのです。

また、上限金利が引き下げられたことで借手は同じ収入額でも返済の負担が小さくなるというメリットが得られます。

つまり、返済能力が相対的にアップすることからローン審査に通りやすくなる、多めに借りやすくなるケースが増えるわけです。