年金滞納で差し押さえになるのはどんなとき?年金が払えないときの対処法

年金滞納で差し押さえになるのはどんなとき?年金が払えないときの対処法

ワカル編集部
ここ数年で年金滞納者の年金差し押さえの条件が厳しくなったことを知っていますか?
「毎年値上がりしてるし、自分はどうせもらえないので年金を払うのがバカらしい」
「借金とちがって年金は取り立てがくることがないでしょ。払わなくても平気平気」
なんて声をよく聞きますが…
ワカル編集部
そう思って年金を滞納し続けると、ある日突然、あなたの大事な財産が国に没収されるかもしれませんよ。

今回は、年金の差し押さえの対象となる条件や没収される財産、年金が払えないときの対処法を徹底的に解説します。
年金を滞納し続けている自営業者やフリーター、年金の支払いに困っている人はしっかり確認してくださいね。

この記事で分かることはざっくりこれ!

  • 年金の強制徴収の対象となるのは、年間所得300万円以上で7ヶ月以上滞納した人
  • 年金の差し押さえで没収されるものは、生活必需品以外の換金できるすべての財産
  • 強制徴収の対象になっても、いきなり年金が差し押さえされるわけじゃない
  • 年金の支払いに困ったら、免除と猶予の手続きができる

差し押さえは違法じゃないの?年金徴収が厳しくなった理由

年金滞納で差し押さえ 年金を受け取る権利は差し押さえできないが年金未納については差し押さえが実行される

「最近になって年金の強制徴収が厳しくなったけど、年金差し押さえは違法じゃないの?」と疑問に思う人もいますよね。

公的年金は、高齢者や障害者など何らかの理由で働けない人が最低限の生活を保障するために支給されるものです。

そのため、国民年金法24条と厚生年金法41条では、「年金の受け取る権利の譲り渡しや担保、または差し押さえできない」と明記されています。

しかし、この条文の「年金差し押さえ禁止」の範囲は、民間の各種支払いを滞納したときに、年金を差し押さえ対象にしてはならないという意味です。

国民年金は、20歳以上の国民全員が納める義務があるため、年金を滞納したときは、財産の差し押さえが実行されます。

年々、国が年金徴収を厳しく行う理由は、国民年金の納付率が低いからです。

2019年5月時点の最終的な国民年金の納付率は73.5%でしたが、2016年の時点では納付率は約60%しかありませんでした。
年金の納付率が低いままだと、国は年金制度を維持することができません。

ワカル編集部
年金制度を維持するために、国は年金を強制徴収の対象となる人の基準を上げて、納付率を強化する対策をとったのです。

年金未納者で財産が差し押さえの対象となる人

2019年8月時点で、年金を滞納して強制徴収の対象となるのは、以下に該当する人です。

年間所得が300万円以上で、7ヶ月以上年金の支払いを滞納した人

年金未納者で財産が差し押さえの対象となる人

「年収300万円以上で、しばらく国民年金を払っていないけど強制徴収の対象なの?」と勘違いする人もいますが、年収と所得はちがいます。

所得とは、年収から経費と控除を引いた金額です。
年収400万円でも、経費と控除が合わせて150万円だったら、所得は400万円 – 150万円=250万円。年金の強制徴収の対象とはなりません。

しかし、自分の所得が強制徴収の対象外だからといって、年金を滞納する理由にはなりません。
「将来、年金がもらえない可能性が高いから、年金を納める意味がない」と思う若い人も少なくありません。

年金の納付は、20歳以上の国民全員に法律で定められた義務です。
定職についていない学生やフリーター、専業主婦でも例外はありません。
十分な収入がある人は、必ず年金を毎月納付するようにしましょう。

ワカル編集部
最後に詳しく説明しますが、生活が苦しくて年金を納めることがむずかしいには、救済措置をとっています。
年金の支払いに困ったら、強制徴収の対象となる前に役所に相談しましょう。

年金差し押さえで没収されるものとされないもの

長年、年金を滞納して差し押さえの対象となったからといって、すべての財産が没収されるわけではありません。
年金の強制徴収で没収される財産と没収されないものを詳しく解説していきます。

差し押さえの対象となる財産

差し押さえの対象となる財産は、生活必需品や最低限の生活費をのぞいた現金で換金できるものすべてと考えてください。

財産が没収されるのは、国民年金を未納した本人だけではありません。
国民年金を滞納した人の配偶者や、世帯主である同居家族の財産も差し押さえの対象となります。

たとえば、両親と同居している25歳のフリーターが、国民年金の差し押さえの対象となった場合、父親が世帯主だったら、父親の財産が差し押さえの対象となるわけです。
通常の借金だと、連帯保証人でなければ、お金を借りた本人以外に借金を返済する義務はありません。
しかし、年金の支払いに関しては、滞納者の同居家族も連帯責任で未払いの年金を支払わなければなりません。

収入

給料
真っ先に強制徴収の対象となるのが収入です。
ただし、収入をすべて差し押さえすると生活ができません。
年収の1/4だけ手元に残り、それ以外の収入はすべて没収されます。

不動産

不動産
持ち家やマンションなど不動産も差し押さえの対象です。
強制徴収の前に国が滞納者の財産を調査します。
その結果、住宅ローンの支払いが滞っている持ち家や、自宅以外の不動産があると分かった場合は、これらが差し押さえの対象になりやすいです。

預金口座・有価証券・生命保険

通帳
預金口座や株や投資信などの有価証券、生命保険などの金融商品も差し押さえの対象です。

生活必需品以外の財産


生活必需品以外でお金に換金できる財産は、すべて差し押さえの対象です。

具体的には以下の財産が強制徴収されます。

  • 貴金属・宝石類
  • ブランド品
  • パソコン
  • 高級家具
  • 絵画や骨とう品などの美術品
  • 車など

差し押さえ対象外のもの

一方、下記は生活するうえで必要なものとみなされるので、年金を滞納しても差し押さえはされません。

  • 衣類
  • 寝具
  • 台所用品
  • 家電(テレビ、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ)
  • 食料品や燃料
  • 仏壇・位牌
  • 仕事道具
  • 勲章
  • 年金滞納者の子供の学習道具
  • 義手や義足
  • 消防・避難道具など

急な財産没収はない!年金差し押さえのまでの流れ

年金を滞納して強制徴収の対象になったからといって、すぐに財産が没収されるわけではありません。

しかし、年金の強制徴収を受けた人のなかには、「ある日突然、預金口座のお金が減っていた」と、驚いて役所に苦情を訴えに行くことも珍しくありません。

実は年金の差し押さえは、いくつかの段階を踏んで実行されます。
年金が差し押さえされるまでの流れを1つひとつ詳しく解説するので、特に国民年金に加入している人はしっかりチェックしてくださいね。

最初は納付奨励で勧告

納付奨励
まずは、年金機構から「国民年金未納保険料納付勧奨通知書(催告状)」がハガキで届きます。
それと合わせて、役所もしくは外部の委託業者から電話や自宅訪問で、年金を支払うよう勧告されます。

ハガキや電話、訪問による通知は「納付奨励」とよばれるもので、「払い忘れの年金があるので、払ってくださいね」と、滞納者に自主的に年金を支払うことを促すものです。

納付奨励の案内は1回で終わるものではありません。
数回にわたって滞納者に年金を支払うよう勧告します。

特別勧告状の送付

特別勧告
納付奨励を行っても年金が支払われない場合は、年金機構から特別催告状と呼ばれる請求書が届きます。

特別催告状の中身をざっくり説明すると、以下の文面が書かれています。

  • 指定の期日までに未納分の年金を全額納付しましょう
  • 期日までに全額納付しないと、法に基づき滞納者と同居家族の財産を強制徴収します
  • 全額納付が厳しい場合は、役所に行って免除や猶予の手続きを行いましょう

未納分の年金の一括納付がむずかしい場合は、特別勧告状が送付されたタイミングで、役所に相談すれば年金の支払い免除や減免、分割払いが認められます。

特別勧告状の送付も1回で終わるわけではありません。
1回目が青色、2回目が黄色、3回目が赤色と段階を経て封書の色が変化します。
黄色や赤色の封書になると、年金機構が悪質な滞納者と判断して、「延滞金の発生」や「財産差し押さえ」などの書面の内容が深刻なものとなります。

最終催告状の送付

最終催告
特別勧告状が届いても、年金を滞納したままだと「国民年金未納保険料納付勧奨通知書(最終催告状)」がハガキで届きます。

最終勧告状の内容を一言で説明すると、「指定期限までに滞納した年金を一括納付しないと、財産を差し押さえるよ」と勧告するものです。

最終勧告状の送付までが、普通に年金の支払いができる最後のタイミング。
このタイミングなら、一括納付できない人でも役所に相談すれば注意はされますが、年金の分納や免除、猶予などの手続きをとることは可能です。

督促状の送付

督促状
最終勧告状が送付されても、未納分の年金を支払わない場合は、役所から督促状が送付されます。

督促状の文面をざっくり説明すると、以下の内容が書かれています。

  • 期限までに年金を一括納付しないと、滞納者と同居家族の財産を差し押さえます
  • 滞納した分の年金とあわせて、延滞金も払ってください

このタイミングで未納分の年金と合わせて、年率14.6%の延滞金の支払い義務も発生します。

督促状が送付されるのは、滞納者本人だけではありません。
未納分の年金は、同居家族にも連帯責任で支払い義務があります。
そのため、同居家族がいる人は、家族にも督促状が届きます。

ワカル編集部
督促状が送られたら、基本的に税金の分納や免除、猶予の手続きをとることはできません。
延滞金も含めて、未納分の年金は一括納付しなければなりません。

差押予告通知書の送付

差押予告通知書
督促状を無視して年金を滞納したままだと、年金機構は差押予告通知書を滞納者とその同居家族に送付します。
年金機構が、滞納者自身や同居家族の財産や勤務状況を調査するのも、このタイミング。

差押予告通知書には「いつ」「何を差し押さえる」のか書かれていません。
差押予告通知書が届いたら、近日中に何の前触れもなく、年金の差し押さえが始まると考えてください。

強制徴収は最後の手段

差し押さえ
差押予告通知書が届いた数日後に、最後の手段となる年金の差し押さえが行われます。
年金の差し押さえは普通の借金とちがって裁判所が介入しません。
差し押さえ後は、年金機構もしくは委託業者が「差押調書謄本」と呼ばれる書面で、「何からいくらの金額を徴収した」と滞納者に通知します。
強制徴収された人のなかには差押調書謄本が届いて、はじめて年金の差し押さえがされたことに気づく人もいるようです。

普通の借金とちがって、年金は自己破産ができない

滞納した年金は、一般的な借金とちがって自己破産をして支払いを逃れることはできません。

年金は、20歳以上の国民全員が支払う義務があると法律で決められたもの。

生活が苦しくても年金の支払いを帳消しにはできません。
滞納者が年金を納付できないときに、同居する配偶者や世帯主に支払いの義務が生じるのもそのためです。

生活苦でどう頑張っても年金が払えないときの対処法

年金滞納者のなかには、自分と同居家族の収入では、年金の納付がむずかしい人もいることでしょう。
生活が苦しくて年金が払えない人のために、国は「保険料免除制度」と「保険料納付猶予制度」を設けています。
それぞれのちがいを詳しく解説するので、年金の支払いに困っている人はチェックしてくださいね。

保険料免除制度

年金の支払いが免除される制度。免除される金額は所得で異なります。
ここでいう所得とは、本人と配偶者、世帯主全員の合計所得です。
保険料免除制度には、次の特徴があります。

>年金免除のポイント

  • 申請資格に年齢制限がない
  • 免除期間中も老齢基礎年金や遺族基礎年金、障害基礎年金の受給資格期間に含まれる
  • 免除期間中の未払いの保険料は、国庫が半分負担するため、全額納付と比べて受給額は減るが老齢基礎年金は受け取れる

免除を受けるには、住民票登録している市町村の国民年金担当窓口に申請書を提出しなければなりません。
その際に年金手帳(基礎年金番号通知書)と前年度もしくは前々年度の所得がわかる書類をもっていきましょう。

免除の額は4種類あります。
それぞれの適用条件や所得と年収の目安、免除期間中の年金受給額がどれだけ減額されるか調べてみました。

全額免除

全額免除は、前年度の所得が以下の計算式で算出した金額の範囲内となる場合に適用されます。

(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円

参考までに世帯別に全額免除が適用される年収と所得を紹介します。

  • 4人世帯
    所得162万円、年収257万円
  • 2人世帯
    所得92万円、年収157万円
  • 単身世帯
    所得57万円、年収122万円

全額免除された期間の老齢基礎年金は、年金を全額納付した場合の1/2しか支給されません。

4分の3免除

4分の3免除は、前年度の所得が以下の計算式で算出した金額の範囲内となる場合に適用されます。

78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

世帯別に4分の3免除が適用される年収と所得の目安は以下のようなっています。

  • 4人世帯
    所得230万円、年収354万円
  • 2人世帯
    所得142万円、年収229万円
  • 単身世帯
    所得93万円、年収158万円

年金の支払いを4分の3免除された期間の老齢基礎年金は、年金を全額納付した場合の5/8しか支給されません。

半額免除

半額免除は、前年度の所得が以下の計算式で算出した金額の範囲内となる場合に適用されます。

118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

世帯別に半額免除が適用される年収と所得の目安は以下のようなっています。

  • 4人世帯
    所得282万円、年収420万円
  • 2人世帯
    所得195万円、年収350万円
  • 単身世帯
    所得141万円、年収227万円

半額免除された期間の老齢基礎年金は、年金を全額納付した場合の6/8しか支給されません。

4分の1免除

4分の1免除は、前年度の所得が以下の計算式で算出した金額の範囲内となる場合に適用されます。

158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

世帯別に4分の1免除が適用される年収と所得の目安は以下のようなっています。

  • 4人世帯
    所得335万円、年収486万円
  • 2人世帯
    所得247万円、年収376万円
  • 単身世帯
    所得189万円、年収296万円

4分の1免除された期間の老齢基礎年金は、年金を全額納付した場合の7/8しか支給されません。

保険料納付猶予制度

保険料納付猶予制度とは、年金の支払いを先延ばしにできる制度のこと。
保険料納付猶予制度には次の特徴があります。

年金猶予のポイント

  • 20歳~50歳未満の人が対象
  • 猶予の基準は、本人と配偶者の所得。同居家族の世帯主は対象外
  • 猶予期間中も老齢基礎年金や遺族基礎年金、障害基礎年金の受給資格期間に含まれる
  • 猶予期間中でも年金受給資格はあるが、その期間の老齢基礎年金は支給されない

申請方法と申請に必要なものは、保険料免除制度と同じです。
保険料納付猶予制度は大きく分けて2種類あります。
それぞれの特徴を一緒に確認していきましょう。

20~50歳未満の人

納付者が20~50歳未満だと、前年度の所得が以下の計算式で算出した金額の範囲内となる場合に適用されます。

(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円

世帯別に猶予が認められる所得と年収の目安は以下のようになっています。

  • 4人世帯
    所得162万円、年収257万円
  • 2人世帯
    所得92万円、年収157万円
  • 単身世帯
    所得57万円、年収122万円

20歳以上の学生

20歳以上の学生には、在学中は年金の納付が猶予される学生納付特例制度があります。
学生自身の所得が以下の計算式で算出した金額の範囲内となる場合に適用されます。

118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等

家族や配偶者の所得は対象となりません。
大学や大学院、短大、高等専門学校、特別支援学校などの学生がこの制度の対象となります。

ワカル編集部
手続きがまだの20歳以上の学生は、年金手帳と学生であることが証明できる書類(学生証、在学証明書)をもって、住民票登録している市町村の年金窓口で申請しましょう。

滞納した年金は分納できる?

滞納した年金の分納について
督促状で滞納した年金の一括払いが求められても、滞納した年金の額が多すぎて分割で支払いたい人もいますよね。
また、お金に困っていて免除や猶予を受けたいのに、所得の条件に満たなくて一括払いがむずかしい人もいることでしょう。

年金の最小支払い単位は、1ヶ月分の保険料16,410円です。
基本的に1ヶ月分の保険料より安い金額の分割払いは認められていません。
ただし、年金の滞納額が多すぎて経済的に一括払いがむずかしいと、役所が判断したときは特例で分割払いが認められることもあります。

督促状をもらって滞納した年金の一括払いがむずかしいときは、役所に相談しましょう。

まとめ:年金の支払いに困ったら役所に相談しましょう

国民年金の支払いは20歳以上の国民に課せられた義務です。
「自分が65歳以上になったときにもらえないから払ってもムダ」といわずに毎月しっかり納付しましょう。

そうはいっても、1ヶ月16,410円の保険料を納めると生活が苦しくなる人もいますよね。

毎月の年金の支払いがむずかしい人のために、国は年金の支払いを免除・猶予する制度を設けています。

年金を未払いのまま放置すると、滞納した分の年金を強制徴収するため、銀行の口座や不動産など大切な財財産が差し押さえの対象となります。
年金差し押さえで銀行口座が凍結したら、そう簡単に解除できません。

そうなる前に年金の支払いに困ったら、そのまま放置せずにまずは役所に相談しましょう。

タイトルとURLをコピーしました